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Mrs. Soffel 燃えつきるまで

アメリカ映画 (1984)

ハーレイ・クロス(Harley Cross)の映画初出演作。出演時は5-6才。役どころは、映画の原題であるソフル夫人の一番下の子供。映画の筋とは全く絡まないが、刑務所の所長夫人であり、かつ、2人の娘と2人の息子の母としての姿を印象付けるシーンに登場する。登場箇所は、細かく分ければ9ヶ所とかなり多い。そして、こんなに幼いのに、将来の名子役としての輝きは十分感じられる。

映画の舞台は1901年のピッツバーグ。アメリカ最大の製鉄の街。このピッツバーグのアレゲニー刑務所内で自主的に教誨活動をしていた所長夫人が、無実の罪で死刑を宣告されたビドル兄弟の兄に同情し、その無罪を信じ、のこぎりを持ち込んで脱獄を助け、所長夫人という社会的身分と、4人の子供の母という家庭を捨てて、死刑囚と逃避行に出るというストーリーだ。つまり、ハーレイ・クロスが演じるクラレンスの出演場面とは全く重ならない。従って、あらすじでは、ハーレイの出演部分だけに絞って紹介する。

ハーレイ・クロスは決して可愛い子役ではない。千変万化の表情を自由にコントロールできる天性の演技力にその最大の魅力がある。そして、その類い稀な能力は、小学校1年生という幼さで、映画やテレビを含めて初出演であるにもかかわらず、既に発揮されている。


あらすじ

病気で臥せっている母が、夜、叫び声を上げる。吹雪で道に迷う悪夢を見たからだ。逃避行に移ってからの雪の山野での行程の予知夢なのか? その声で飛び起きた子供達。クラレンスがこっそり覗く(写真)。父が「今すぐベッドに戻りなさい。全員だ」と命令する。
  

新聞売りの少年が、「ビドル兄弟、今日収監だよ」と叫んでいる。死刑制度反対の女性活動家が警官に丁寧に排除されている。「ビドル兄弟を自由に」との声も聞こえる。そして裁判所と刑務所を結ぶ「橋」が映される(1枚目の写真)。ついでながら、この建物は、今では歴史的建造物として観光の対象となっていて、参考までに私が昔撮影した写真も添える(2枚目)。映画の映像が如何に素晴らしいかがよく分かる。この橋の上で遊んでいる所長の息子のエディ(兄)とクラレンス(弟)。2人のやっているのは囚人ごっこで、当然、兄が看守、弟が囚人役だ。弟:「もう撃ちません」。兄:「クラレンス・ソフル、お前は重罪犯だ」。「お願い殺さないで」。「殺人犯の監房に一生閉じ込めてやる」。「二度と撃ちませんから」。弟を乗せた車輪付きのイスが、橋の中央にさしかかる(3枚目の写真)。兄の手を離れたイスは、クラレンスを乗せたまま坂を滑って裁判所側へ(4枚目の写真)。悲鳴を上げるクラレンス(5枚目の写真)。クラレンスは、裁判所と橋を仕切る鉄格子にぶつかって止まった。見上げると(6枚目の写真)、そこには、これから収監されるビドル兄弟がいる(7枚目の写真)。同行してきた守衛長に「クラレンス! あっちへ!」と叱られ、逃げ出す。この時の顔が可笑しい(7枚目の写真)。
  
  
  
  
  
  
  
  

父である刑務所長と長女の前で(1枚目の写真)、次女と2人の兄弟が立たされている。「マーガレット、エディ、クラレンス。入っちゃいけない場所で 遊んでいたそうだな。お陰で、学校にも遅刻だ」。守衛長が「3人のチビ犯ですな」と口を挟む。「お姉さんが、お前たちの世話にどれほど苦労してるか知ってるのか? 秩序を乱す行為をした時は、罰せられて当然だろ?」。兄のエディは「はい」と答え、間髪を置かずに弟のクラレンスも「はい」と答えるが、マーガレットは黙ったままだ。姉が、「マーガレット、答えなさい」と注意する(2枚目の写真)。父は、「今回は執行猶予にしよう。閉廷する」と事を収める。そこに突然母が現れる。3ヶ月も病気で寝たきりだったので、全員がびっくりする。「ママ、起きちゃっていいの?」。「ええ、良くなったの」。「アイリーン、医者を呼びにやらせなさい」。「医者には、どこが悪いか分かってない。あんなのは役立たず」。「3ヶ月も病気だったのが、ある朝、突然治ってる? そんなバカな」。「医者なんか要らないの」と言って、母はクラレンスを抱く(3枚目の写真)。
  
  
  

母とマーガレットとクラレンスの3人が、街路を歩いている。「1、2」と数えて「3」の時に、間に挟んだクラレンスを持ち上げている(1枚目の写真)。クラレンスはしごくご満悦(2枚目の写真)。この場面のすぐ後、街路の先で群集に不穏な動きがあり、母はそそくさと引き返す。「さあ、2人とも向きを変えて」。
  
  

次は、夕食の場面。子供たちが席に座り、そこに父母が入って来る(1枚目の写真)。父に指名され、クラレンスが食前の祈りの言葉を暗唱する。「主よ、この食事の恵みを 心から感謝します。アーメン」(2枚目の写真)。祈りを終えて目を開くクラレンス(3枚目の写真)。目が生き生きとしているのがハーレイ・クロスの特徴だ。
  
  
  

長女と2人の兄弟でクリスマスの準備をしているシーン。クラレンスが樅の小枝を姉の髪に載せる悪戯をしている(写真)。
  

クリスマス・イヴの日。古代ローマの戦士姿の兄弟が「降りておいで!」と声をかけられ、プレゼントの待つ1階へ。そこには、ツリーの周りをおもちゃの鉄道模型が走っている。それを見たクラレンスが早速、「汽車で遊んでいい?」と訊く。「いいとも。だが慎重にな。いいか、まずスピードを落とすんだ。スイッチを反対に」「いいか、カーブではスピードを落とせ。そう、そうでいい」。やったと言わんばかりのクラレンス(1枚目の写真)。スイッチに最初に触ったのは積極派のクラレンス。兄のエディはそれを見ていて、「僕もやりたい」。「2人で代り番こにやるんだ」。その後、母と2人の姉妹がピアノに合わせて歌う(2枚目の写真)。幸せな日々ももうすぐ終わりだ。
  
  

ビドル兄弟の死刑執行が明日に迫った日、母が、子供たち全員を家から追い出す。「さあさあ急いで。エルシー叔母のトコは楽しいわよ。ジニーと遊べるし。ママは、数日でそっちに行くから」。そして階段の途中で、「クラレンス、帽子をちゃんと被って。さよならのキスして」と言う(1枚目の写真)。この時点で、既に母はビドル兄弟の兄を愛していて、一緒に脱出するつもりでいるので、この「さよなら」は、永遠の別れを意味している。そして、馬車に乗り込んだ4人の子供。クラレンスの寂しそうな表情が、これから起きることを象徴しているように見える(2枚目の写真)。
  
  

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